フェムトセカンドレーザー導入の理由

 当初、吉野眼科クリニックでは、以下に示す旧型フェムトセカンドレーザーによる許容できない合併症を懸念して、その導入に躊躇がありました。

1.高頻度に出現したDLK(Diffuse Lameller keraitis):原因不明の角膜フラップ下の炎症。
  点眼液の変更や、角膜フラップ下の再洗浄、結膜(白目)下へのステロイドの注射、ステロイドの内服が
  必要なこともある。

2.術後、虹のように光が散乱してみえる「レインボーグレア」の出現。

 しかし、最新型フェムトセカンドレーザー(AMO社製 iFS)の登場によりこれらの欠点は解決し、むしろ、マイクロケラトームによる不均一な厚さのフラップ、「thin flap」や「button hole」 、フラップエッジの薄さに起因するフラップ下への角膜上皮細胞の迷入「epihelial imgrowth」などの合併症から解放され、より確実で安全なフラップ作成が可能となり、このたび吉野眼科クリニックでは最新型フェムトセカンドレーザー(iFS)の導入に踏み切りました。

 フェムトセカンドレーザーは非常に高価な機器ですが、手術費用は据え置きでiFSによるフラップ作成をご提供しています。



フェムトセカンドレーザーで行う対象の手術

・レーシック(角膜屈折矯正手術
詳しいテクノロジーについは、この下から記載しています。
・角膜移植手術
詳しいテクノロジーについは、この特設ページの下の方にあります。


当院で導入したフェムトセカンドレーザーとは

 レーシックの施術において、【iFS(アイエフエス)フェムトセカンドレーザー】は、IntraLase(イントラレース)FSレーザーのすべての性能に加えて以下の点が向上された機器です。

フラップを薄く形成するため、安定性が高く、手術後の治癒が極め
て良好になります。

-コンピュータ制御により安全性が向上
-各種設定値のカスタマイズが可能
-フラップ作製は10秒程度
-均一な厚さのフラップを作製
-角膜(フラップ)の固定力が強化
-角膜(フラップ)の固定力が強化
-角膜移植においては様々な形に角膜のカットが可能

iFS




iFSフェムトセカンドレーザーの優れた性能の詳細

・ベベルインサイドカット角度を150°まで設定することが可能になり、生体力学的安定性が向上します。
・楕円形のフラップを作製することにより、角膜実質ベッドを最大限まで露出させることができます。
・レーザー照射スポット間の距離を狭めることで、より滑らかな切断面を形成しスムーズなフラップリフトを実現します。
・1パルスあたりのエネルギーを低下させて、角膜組織への影響を軽減します。
・周波数を高めレーザー照射時間を短縮することで、患者の満足度および信頼度を高めます。
・高解像度のビデオマイクロスコープにより快適な手術環境を提供します。



ベベルインサイドカットのフラップ作製

・フラップの安定性が高く、手術後の治癒が極めて良好になります。
・マイクロケラトームと比べ、フラップリフトにおける安定度が3倍
 (サイドカット角度150°)に増します。
・フラップ辺縁での段差が著しく減少します。
・切断された神経の治癒力が向上します。
・角膜感覚の低下を起こしません。
・サイドカット角度30°のフラップよりドライアイ(目のかわき)の
 症状の発現が減少します。


150°まで設定可能なベベルインサイドカットで、フラップの接着および固定力が高まり、LASIK後の角膜に最適な生体力学的安定性が得られます。


 

サイドカット角度30°では、
手術後の神経再生は遅くなります。

サイドカット角度150°では、
手術後の神経再生が早くなります。


楕円形のフラップ作製により手術の選択肢が拡大

・楕円形の角膜に左右対称に力が配分されます。
・エキシマレーザーで照射するのに必要な部位を最大限に露出させることができます。
・照射部分からヒンジ位置を遠ざけることで、ヒンジへの照射を防ぎます。
・幅広いヒンジ角度の選択が可能です。
・生体力学的安定性を高めている角膜コラーゲン繊維を保護することが可能です。




イントラレースのメリット:フラップ作製方法の違い

イントラレースの場合(iFS60:レーザー)

マイクロケラトームの場合

コンピュータ制御によって、レーザーで二方向から切断

【特徴】
・エッジ(フラップの端)の部分は、垂直やインバートにも作ること
 ができ、マンホールの蓋(ふた)のようにピタリとはまるため、
 固定力が高い
・フラップの厚さは均一
・ムラのない滑らかな切除面

金属の刃を往復運動させて水平方向に切る

【特徴】
・エッジ(フラップの端)の部分は、なだらかな曲線になり固定力が弱い
・厚さは周辺部が厚く中心部が薄い
・切断面が若干デコボコ



 
 

高い生体力学的安定性、スムーズな角膜実質層の切断面と速やかな視力回復

IntraLaseテクノロジーによる高い生体力学的安定性

・創口の治癒が早く、より強いフラップが得られます。
・手術後の接着を良好にします。
・ベベルインサイドカットにより手術後の神経再生が促進されます。


90日目でのサイドカット角度140°の角膜中央部の感度は、
サイドカット角度30°に比べて良好な結果が得られました。
また、角膜表面の感度においても同様に良好な結果が得られました。

ニュージーランド白色種のウサギの眼で、マイクロケラトームによるものと、iFSフェムトセカンドレーザーによってサイドカット角度70°、およびサイドカット角度140°の3群のフラップを作製。3ヵ月後に、曲面状のレンズに張力計を取り付け、フラップが剥がれるまで垂直に引っ張り、最高張力を測定した。

注記:IntraLase FSレーザーのサイドカット角度は最大90°まで



スムーズな角膜実質層の切断面

IntraLaseテクノロジーは、質の高い角膜実質層の切断面を得ることができます。
・iFSフェムトセカンドレーザーによる実質ベッドの粗度:39.55nm
・IntraLase FSレーザーによる実質ベッドの粗度:41.20nm
・A社フェムトセカンドレーザーによる実質ベッドの粗度:42.87nm


IntraLase FSレーザーによる切断面の画像はDaniel S. Durrie医師の提供による。
iFSフェムトセカンドレーザーによる切断面の画像はMelvin A. Sarayba医師の提供による。



速やかな視力回復

術後裸眼視力20/20(1.0)以上の達成率は、いずれの術後検査時においてもフェムトセカンド群が有意に高いものでした。


IntraLase FSレーザーで治療した1,000眼とマイクロケラトームで治療した1,000眼について遡及的分析を行った(N=2,000)。

優れた均一性と正確性による安全性の向上

フラップ形成における安全性

 350万眼以上の臨床実績を持ち、レーザーですべての処置を行うIntraLaseテクノロジーは、 マイクロケラトームと比較して、フラップ作製や術後管理などの面において多くのメリットがあります。

次のような事象を抑制又は防止できます。

・ボタンホールやフリーフラップ
・不均一な厚さのフラップ
・微穿孔
・フラップの偏心
・上皮欠損
・レーザー照射スピードが速くなり、吸引時間が短縮されたため、下記の利点が得られます。
  サクションブレイクのリスクが低減
  眼圧が高い状態の時間を短縮
  結膜下出血の可能性の低減



均一性と正確性により角膜切開の精密なデザインが可能

 独自のコンピュータ制御によるレーザーシステムにより、平均厚112±5μm、平均標準偏差4μmの薄くて均一な厚さのフラップを作製することができます。そして、フラップ下の角膜実質層を十分に残すことにより、LASIK手術後の角膜がより安定しやすくなります。


均一なフラップ形成

Jason Stahl医師(Durrie Vision社、米国カンザス州オーバーランドパーク)の提供による。

IntraLaseテクノロジーで可能となった角膜切除・切開

自在にカスタマイズ可能な角膜切開パターン

角膜切開パターン IntraLase テクノロジーにより、角膜移植を含む角膜層状切除・切開の選択肢が増えました。
角膜切開時には、チャネル幅、オフセット、深さ、スポット分離、ライン分離、 層分離、エネルギー、サイドカット径や角度などの各種パラメータを患者に 合わせてカスタマイズすることができます。

IntraLaseテクノロジーにより、次のような切開を行うことができます。
・リング状ラメラーカット
・前方サイドカット
・後方サイドカット
・全層状切除





IntraLaseテクノロジーによる角膜移植切開手術により角膜移植に革新的な進歩をもたらしました

角膜横断面
オプティカル・コーヒーレンス・トモグラフィーによる術後3カ月目の角膜横断面 IntraLase FSレーザーによりジグザグ型に切開したドナー角膜とホスト角膜の接合面はほぼ完全に一致しています
IntraLaseテクノロジーを使用した全層角膜移植における角膜切開手術をIEK(IntraLase Enabled Keratoplasty)といい、世界で初めて使用されたレーザー技術です。

・正確に切り出された角膜は、パズルのピースをはめ込むようにピタリと患者の角膜に移植されます。
・滑らかで広い表面積を持つ切断面を有することで最小限の縫合でより安定した移植を可能にし、
 創口の治癒も早くします。
・移植片は創口閉鎖性が優れており、従来の角膜移植と比較して創口部からの漏れに対する抵抗力が
 7倍になります。


全層角膜移植のパターン組み合わせ例

何よりも大切なのは、患者さんと医師の信頼関係です

当院がレーシックを始めたきっかけ

 私が初めてレーシックを目にしたのは、1992年にマイアミ大学 Bascom Palmer Eye Institute に留学していた頃でした。帰国後1995年に吉野眼科クリニックを開院したのですが、その後、現慶應大学眼科の坪田教授、現東京歯科大学眼科の宮島教授、島崎教授らと共に、当時日本ではまだ実績の少なかったレーシックを始めたのが1998年のことです。
 もともと眼科医としての専門は、涙・角膜・結膜・水晶体といった「前眼部」と呼ばれる領域で、留学前には1989年から慶應義塾大学病院でドライアイの研究とともに特殊外来での診療を行っていました。また、コンタクトレンズとドライアイは関係が深く、「どうしてもコンタクトレンズが出来ないドライアイの患者さんを救うことができないか」ということで、コンタクトレンンズの装用が不要になるレーシックに興味を持ったわけです。専門が前眼部ということで、コンタクトレンズをはじめ、眼の表面(オキュラーザーフェス)に関わる疾患はすべて網羅しよう、ということがそもそものきっかけです。

眼科医としてのポリシー

 レーシックは、適応を守り経験豊富な医師が行えば、どこのクリニックで受けたとしても、95%の方は満足な結果が得られ有用性が確立された手術です。とは言え、残りの5%の方には何かしらの不満や不具合が生じる可能性もあるわけで、そのことはあらかじめ頭に入れておいていただく必要があります。この5%を決して侮ってはいけません。私は、この5%を如何に少なくするか、また、この5%が現実になったときに、大切なものは何かを考えてみました。それは、患者さんと医師の信頼関係ではないかと思います。つまり、直接顔と顔を突き合わせて、患者さんから見れば「この医師に任せて大丈夫かどうか」ということをご自身で判断してもらうことが重要でしょう。「手術がうまくいく」ということが最も大切であることは当たり前ですが、「万が一うまくいかなかった時」にどう対応してくれるのか、といったことも、手術前にはなかなか考えに及ばないことですが重要な要素と言えるでしょう。
 当院にはレーシック以外の一般診療も含め、常に多くの患者さんが訪れます。診察に際して、私はできる限り患者さんと色々な話をするよう心掛けています。実は、私の診察室には待合室を映し出すモニターがあり、常に混雑状況を把握することができます。待合室での待ち時間の長さは、患者さんの医療機関への不満の上位に位置することを知っていますので、混んでいる時の診察は駆け足になりますが(ポイントは外しませんのでご安心を)、あまり混んでない時には、世間話をすることもあります。「先生、実はウチの奥さんがね~」「なるほど、そうなんですか。それは大変ですねぇ」なんて、思いもよらない患者さんのバックグランドを知ることで治療のヒントが得られることもあるのです。

私の手術に対する眼科医としてのポリシーは、

(1)患者さんと医師の信頼関係が構築できないのであれば、手術はしない
(2)絶対に嘘はつかない
(3)万が一何かトラブルがあった場合には、眼科医生命をかけても最後まで対応する
(4)万が一のトラブルに対し、もし自分で対応できない状況であれば、
   自分のプライドを捨ててでも他の専門医に協力を仰いで、患者さんにとっての最善策をとる。

といったところでしょうか。

 手術を受ける患者さんは自らのプライバシーをさらけ出し、体にメスまで入れられるのですから、手術を行う者としては、その決断と不安を「厳粛に、真摯に受け止め、治療するためのロボットであってはいけない」という思いを忘れないよう心がけています。

 レーシックに関していえば、ある施設では、術前のお話をする者、診察をする医師、手術をする医師(施設によっては角膜フラップを作る医師とレーザーを照射する医師が異なる場合があるようです)、術後の診察をする医師(バイトの医師だったりすることもあるようです)がすべて異なるとのことです。これでは、一人の患者さんへ一連の対応をすることは不可能ですし、不具合が生じた時の責任の所在もあやふやになってしまいます。医師は分業作業をするロボットではありませんし、患者さんは組み立て工場の工業製品などでは決してありません。キャンペーンやキャッシュバックによる薄利多売で効率の良い(?)安価な医療を受けるか、手術コストは施設を選ぶにあたっての重要な選択条件ではありますが、一人一人手厚いオーダーメードの医療を受けるかの選択は十分に検討していただきたいポイントと思います。

 院長が逮捕にまで至った銀座眼科の大量角膜感染症発生事件の被害者や、ネット上で最近目にする「レーシック難民」などは、まさに、そのような状況から生まれたレーシック手術の負の側面といえるでしょう。
 オリコンメディカルの「患者が決めた!いい病院ランキング」で1位になったという話は、患者さんからの報告で初めて知らされました。その時は「本当にうちが載っているの?なぜ?」という気持ちが強かったのですが、この件で、それまでの診療姿勢に自信を持てるようになりました。今では北海道や沖縄から、海外からは最も遠い国でエチオピアからも患者さんが訪れてくれるので、素直にありがたく感謝し、モーティベーションを高めてくれます。






これからレーシックを受けようと考えている方へ

 そうそう、よく受ける質問ですのであらかじめお話ししますが、私は普段眼鏡をしています。私はテニスを趣味にしているので(午後からの出勤日には必ずと言ってよい程、近所のテニスクラブで仲間とテニスをします。でも手術日とその前日はやりませんので安心してください)眼鏡は本当に不便で、テニスを考えればレーシックをやりたくて仕方がないのですが、自分自身はレーシックを受けていません。では何故?悲しいかな私は老眼年齢に突入してしまいました。つまりテニスのためのコンタクトレンズを装用した状態では、近くが見づらかったり、疲れてしまい診療ができないという状況になってしまいます。眼科診療は、診察にしろ手術にしろ、毎日顕微鏡を覗く非常に細かい作業の連続です。更に患者さんとお話をして、PCを見て、カルテを書かなければなりません。そういう状況において、老眼鏡をかけたりはずしたりするのは非常に不便ですし、仕事の効率も落ちてしまいます。私の近視度数は−3.0~−3.5Dで約30cmが良く見えるため、近くを見るという意味では便利な眼なのです。
 もう一つ老眼の問題とは別に、手術をしている自分が言うのもなんですが、角膜にメスを入れるということに何とも言えぬ気持ちの悪さを感じるといったことがあります。「えぇ~?とお思いかもしれませんね!?」。もちろん、手術そのものは非常に精度も上がり安全性も増しています。現に私は自分の妹や同僚の眼科医にも手術をしています。したがって、危険とか予後が不良とかいう理由からではなく、私の個人的な感覚として、角膜にメスが入るということに生理的な嫌悪感を感じるのです。注射が大の苦手、という感覚に似ています。理屈では説明ができません。
  このような2つの理由から私はレーシックを受けていません。従って、適応のない患者さんに対しては当たり前ですが、私はすべての人にレーシックを勧めるというようなことは致しません。眼鏡、コンタクトレンズで満足のいく生活が送れるのであればレーシックを受ける必要はないと思います。それでも、ドライアイや不同視(左右の度の差が大きく眼鏡をかけれない状態)、強度近視などの医学的な理由でメリットのある患者さんや、職業上の理由で眼鏡やコンタクトレンズの装用に問題のある患者さんをはじめ、ご自身でレーシックを強く望まれている方に対しては、私はいつでも全力を尽くす所存です。

上野にいる、眼鏡でヒゲ面の眼科医にいつでもご相談ください。

<iFS導入以前のインタビュー記事を元に掲載しています。>